中川一政は、日本洋画の近代化を支え、文化勲章を受章し、
洋画、水墨画、版画、陶芸、詩作、和歌、随筆、書と多彩な作品を制作しました。
画才を岸田劉生によって見出され、セザンヌを独自に研究、
ゴッホの伝記を日本で二番目に翻訳出版するなど、
文学青年でもあった中川一政は、有島武郎の推薦で詩集も出しています。
「感動とは腹の虫がうごくのである」といったように、
その作風は心の内側の感動を描き出す抒情詩的な芸術性を内包しています。
本作品は「この手われに仕へて八十八年」の詩が入った
軸装の『手形』です。
「死ぬまでやることがあるというのは、幸せだと思う。」と
生涯創作し続けた中川一政が、自らの手形をもって米寿を
祝福する気持ちのこもった、大変温かみのある作品です。
サイズ:表装 縦 127.0cm × 横 52.5cm
作品 縦 35.0cm × 横 31.4cm
付属品: 共箱
状態:作品に多少の折れ、表装に経年の擦れ・波打ち等がございます。
僅かな経年感は中古品の特性としてご了承下さい。
写真をよくご覧の上、ご検討くださいませ。
【中川一政 略歴】
1893年 東京本郷に生まれる。
1914年 初めての油彩画「酒倉」を描く。
巽画会展で岸田劉生の目にとまり入選。
1922年 石井鶴三、木村荘八、岸田劉生、椿貞雄らと共に
春陽会の客員となる。
「漁村凱風」が全国知事会から東宮御所に献納される。
1931年 水墨画の個展を開く。
1962年 ミュンヘン市立博物館で、現代日本美術に関する講演を行う。
1977年 中国文化交流使節日本美術家代表団名誉団長として中国を訪問。
文化勲章受章。
1989年 アトリエのある神奈川県真鶴町に中川一政美術館が開館。
1991年 死去。享年97歳。