1927年に制作された本作はモダンな感覚を備えた
様々なジャンルの作品を生み出していた頃に
中村岳陵ならではの自然主義的な風景画を描いたものです。
作品左側に、古今和歌集巻第二巻、素性法師が詠んだ和歌が
記されています。
伊沙気不者 波留能也萬辺爾 麻志里南無
久玲奈波那計農 波名之開気可者
いざけふは 春の山辺に まじりなむ
暮れなばなげの 花の影かは
(歌意:さあ今日は春の野山に入り込もう。もし日が暮れて
しまったなら、美しい花の影がないことがあろうか)
のどかな美しい風景に漂う空気感を感じさせ
日本画の上品さ優美さと共に表現した格調高い逸品です。
※2008年横須賀美術館 中村岳陵展出展歴有
※山口蓬春記念館 平成27年度 春季特別展出展歴有
サイズ:表装 縦 225.5cm × 横 63.1cm
作品 縦 127.5cm × 横 42.0cm
付属品:合わせ箱 / 二重箱 / 2008年度展覧会図録コピー
状態:作品の状態は良好です。
写真をよくご覧の上、ご検討ください。
僅かな経年感は中古品の特性としてご了承下さい。
【中村岳陵 略歴】
1890年〜1969年 79歳逝去 静岡県生
1902年 琳派の野沢堤雨に師事。
1904年 土佐派の川辺御楯(みたて)に師事する。
1908年 東京美術学校日本画科入学。紅児会入会。
1912年 第6回文展に「乳麋供養」を出品し初入選。
1914年 再興第1回院展に「緑蔭の饗えん」を出品。
1915年 第2回院展に「薄暮」を出品し同人に推挙される。赤曜会に参加。
1928年 日本美術学校教授となる。
1930年 福田平八郎、山口蓬春らと六潮会を結成。
1940年 法隆寺壁画模写主任となる。
1947年 帝国芸術院会員、日本芸術院会員となる。
1948年 彩交会を結成。
1950年 日本美術院を脱退し、日展に移る。
1960年 大阪四天王寺金堂壁画を完成。
1962年 文化勲章受章。文化功労者として顕彰される。
1969年 死去。